『魔女の宅急便』などで知られる児童文学作家・角野栄子による、
自身の体験をもとにした物語。
太平洋戦争のただなか、イコは父の再婚相手になじめずに祖母と
暮らしているが、戦況が悪化し、新しい母・生まれたばかりの弟と
共に、千葉の小さな村へ疎開する。
1945年に十歳だったという角野さんは、「十歳の少女にも、十歳なりの
厳しい戦争がありました」と語っています。少女の視点で語られる
孤独や飢餓に、胸が苦しくなりますが、そんな中で健気に生きる
イコにきっと力をもらえるはず。大人から子どもまで沢山の方に
読んでもらいたい、決して失われてはいけない物語です。
トンネルの森1945
角野栄子
(KADOKAWA・1,296円)
【さいたま朝日2016年8月号掲載】
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