『さいたま朝日』の8面コラム「本のソムリエ」に掲載された
本を『さいたま朝日WEB』でもご紹介します。
◎「女の子」という運動 ワイマール共和国末期のモダンガール」
田丸理砂
第一次大戦後、ワイマール共和国の首都ベルリンに
颯爽と現れた「モダンガール」、それは都市で働く
ホワイトカラーの女性のことだった。特にタイ
ピスト、電話交換手、デパート店員は「女の子」
と呼ばれ、また自らもそう称していた。
彼女たちは髪を短く切り、ひざ下丈のスカートを
履き、化粧をし、おしゃれで軽やか。ワイマール
共和国末期には、メディアの発達とともに、
「女の子」を主人公とした小説を書く女性作家が
登場してくる。
この本はその女性作家たちによる作品に焦点を
当てている。メディアで宣伝される「女の子」の
イメージは華やかだが、当然ながら、現実はそう
甘くなく、様々な差別や困難に直面する。この本
で紹介されている作家たちははそのイメージと現
実のギャップを描いている。大量消費社会の始ま
りに位置するワイマール共和国の「女の子」たち
が出会うさまざまな困難は、現代の働く女性にも
通じるものがあるかもしれない。
◎「女の子」という運動 ワイマール共和国末期のモダンガール」
田丸理砂
春風社・3,240円
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